与謝野鉄幹・晶子夫妻:セックスでも情熱的だった文学者夫婦
与謝野鉄幹(1873~1935)とその妻・晶子(1878~1942)といえば、明治期歌壇の革新派としてあまりに有名だが、その奔放さは自らの性生活にも現れている。
まず鉄幹だが、僧侶の父と商家出身の母によって幼少時から漢籍や国書について教育を受け、12歳で専門雑誌に自作の漢詩を投稿するほどだった。17歳の時、2番目の兄が経営する女学校に国語・漢文の教師として赴任する。
ところが、この教師時代に自分の教え子である女生徒・浅田信子と性的関係となり、信子は妊娠し出産するが生まれた子供はほどなく死亡。すると、さらに別の女子生徒、後に夫人となる林滝野と関係を持ち同棲生活を送る。この時、鉄幹は未成年だった。
20歳の時、4年続けた教師を辞めて上京。歌人・落合直文の門下生となり、本格的に文学活動を開始する。
さて、鉄幹は最初に関係を持った浅田信子とまず結婚するものの、次の関係した林滝野との交わりも継続。そして1899年(明治32年)、27歳の時に信子と離婚し、滝野との同棲を再開する。
ところが、ここで登場するのが後に与謝野晶子となる鳳しよう(志よう)である。文学少女だったしようは雑誌への投稿などを続けており、やがて本名のしようから「晶子」というペンネームを名乗るようになる。
1900年(明治33年)4月に鉄幹が主催する東京新詩社に参加。同年8月には大阪に来た鉄幹に会うと、その新進気鋭の作家にたちまち心を奪われる。鉄幹もまた、晶子の文学への情熱と才能を見抜くとともに、女としての情念にも触れた。そして2人は肉体関係となり、交際を過熱させていく。
ところが、すでに鉄幹には滝野という伴侶がいたため、世間や文壇は晶子との関係に猛反発。『文壇照魔鏡』と題する、怪文書をまとめたパンフレットまで発行され、鉄幹は公私共に激しく攻撃された。
ところが、晶子はというとそんなことは気にも留めず、明治34年6月には両親の反対を押し切り、家を捨てて鉄幹の元に走った。これには鉄幹も降参し、滝野と離婚。晶子と結婚するに至った。
以後、鉄幹と晶子が作家として業績と名声を得ていくのは研究書などが紹介している通りだが、夫婦生活においてもまた熱意と工夫の連続だったという。ちなみに、晶子は12回も妊娠し出産、1人は生後2日後に亡くなるが、ほかの子供たちはすくすくと育ち、与謝野家は子沢山であった。
さて、晶子の作品を評して、「当時は女性が自我や性愛を表現することはありえなかったにもかかわらず、晶子は女性の欲求や性を題材にした」といわれることがある。だが、勘違いしてはならないのは、晶子が大胆だったのは「表現」についてだけであって、当時の男女がセックスについて控えめで淡白だったわけではない。
こんなエピソードがある。ある学者から「これまでに、何か特異な性体験などなさいましたか?」と問われた鉄幹は、得意満面で、「バナナを妻の膣に挿入して、翌日取り出して食べましたよ」と話した。妻とはもちろん、晶子のことである。
ところが、それを聞いた学者は、呆れた顔でこう言った。
「鉄幹先生、その程度のことだったら、誰でもやっておりますよ」
鉄幹を戒めた学者こそ、稀代の性研究者として有名な小倉清三郎であった。
変態性という他人との大きなかい離を文学へと昇華した作家
書いていなければただの性倒錯者
というか文学自体がただの変態的側面のアピールにすぎないような気がする
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